人生最期の七日間?いや、三日でいいです

『お前が「死にたい」と言って無駄に過ごした今日は、昨日死んだ奴の一生懸命生きたかった明日なんだ』

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ネットでたまに見かける言葉です。

これを元ネタに「お前が今朝死ぬほど寝たいと願った10分は、昨晩寝る前にベッドで無駄にスマホ見て過ごした10分」などパロディがいくつか存在する言葉でもあり、見かけたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

元ネタの出所を調べてみると韓国の小説「カシコギ」(2002年サンマーク出版)の邦訳のようで、正しくは「あなたが虚しく過ごした今日という日は、昨日死んでいったものが、あれほど生きたいと願った明日」でした。

 

僕は僕の人生を生きています。みなさんも、みなさんだけの人生を生きているはずです。

「たった一度きりの人生なんだから!」って言われても「そうだ!たった一度きりの人生!うおおぉぉ!やるぞおおおぉぉぉぉ!」ってなりません。僕がどれだけいい加減に生きようが一所懸命生きようが、僕が生きた「今日」は僕だけのものです。

僕たちの「今日」は昨日死んだ知らない誰かが生きたかった「今日」と比較されるべきではないし、比較してはいけなと考えます。

 

しかし、非常に考えさせられることがありました。

 

2018年3月9日、ひとつの詩が朝日新聞の投稿欄に掲載されました。

投稿したのは宮本英司さん(71)。

出会って52年、結婚生活45年。長年連れ添った奥さん(宮本容子さん)が2018年1月19日にガンで亡くなりました。ガンの発見から余命宣告、抗がん剤の副作用、苦しい闘病生活の中、亡くなる約一か月前に英司さんからの「家に帰ったら何がしたい?」の問いに対して容子さんが綴った詩です。

 

「七日間」

神様お願い この病室から抜け出して
七日間の元気な時間をください


一日目には台所に立って 料理をいっぱい作りたい
あなたが好きな餃子や肉味噌 カレーもシチューも冷凍しておくわ

二日目には趣味の手作り 作りかけの手織りのマフラー
ミシンも踏んでバッグやポーチ 心残りがないほどいっぱい作る

三日目にはお片付け 私の好きな古布や紅絹
どれも思いが詰まったものだけど どなたか貰ってくださいね

四日目には愛犬連れて あなたとドライブに行こう
少し寒いけど箱根がいいかな 思い出の公園手つなぎ歩く

五日目には子供や孫の 一年分の誕生会
ケーキもちゃんと11個買って プレゼントも用意しておくわ

六日目には友達集まって 憧れの女子会しましょ
お酒も少し飲みましょか そしてカラオケで十八番を歌うの

七日目にはあなたと二人きり 静かに部屋で過ごしましょ
大塚博堂のCDかけて ふたりの長いお話しましょう


神様お願い 七日間が終わったら
私はあなたに手を執られながら
静かに静かに時の来るのを待つわ
静かに静かに時の来るのを待つわ

 

僕が今同じ立場だったら何をするだろうと考えました。

病気に倒れ、当たり前だと思っていた健康的な生活を奪われ、余命宣告を受け、苦しい薬の副作用の中、確実に弱まっていく命の灯。長くはないカウントダウンの中で、神様から「病気しんどそうやな。願い、叶えたるわ。七日間やで」って言われたとき、どうやって最期の七日間を過ごすのか考えました。

 

「いや、すいません神様、せっかくなんですけど、やっぱり大丈夫です。七日間もいらないです。三日あれば十分です」が僕の出した答えです。 

 

僕には何もありませんでした。本当に何もありませんでした。

親と友達に感謝の気持ちだけ伝え、家具や家電を整理し、お金を使って、死後にかかる迷惑を最小限にして、スマホからDMMのアプリを消し、各種SNSのアカウントとこのブログを消して終わりです。

LINEの友達は300人を超えていましたが、人生最期の七日間に会いに行きたいと思う人はほんの数人しかいませんでした。300人も登録されているのに、何度見返しても数人しかいませんでした。 

もし今、不治の病で倒れ余命を宣告されるなら、不謹慎かもしれませんがやはりすぐに死にたいと思います。「七日間もいらないな、七日間も怖いな」が正直な感想です。

 

何も手元に無いのです。独身で、恋人もいなく、仕事に追われ、同じような毎日を同じように過ごし、それなりに嬉しいことや悲しいこと、楽しいことや大変なこともあります。でも、それだけでした。

亡くなった宮本容子さんは七日間で「日常」を過ごしたいと望みましたが、僕の日常は死ぬ前に改めて過ごしたいものではありませんでした。

 

毎年正月には 「今年はこれやるぞ!」って決めても、あっという間に毎日の仕事や友達との約束や女の子とのデートや家賃の支払いや歯医者の予約やLINEの返信という日常に飲み込まれ、色々なものをどこかに置き去りにしてしまうのです。

震災で亡くした親友の分まで生きるって決めたのに、こんなもんです。

僕の硬かったはずの決意は、いつだってこんなもんなのです。

 

七日間を使うにふさわしい何かを手に入れるべくもう一度、考えなければいけません。

会いたい人に会えているか、やりたいことをやれているか、立ち止まらなければなりません。 

神様から「ラスト七日間やで」と言われた時に、意味のある七日間を過ごせるように。

「七日間は長いっす。三日でいいっす。いや、本当に。大丈夫です」って言わなくてもいいように、僕は僕の生活を変えることを今度こそ決意しました。

 

僕は会社を辞めようと思います。

10年間お世話になった会社です。大好きな仲間がいる会社です。感謝しています。

でも春に過労で体調を崩したときに病院のベッドで(このまま死んでも満足かな)と考えた時、完全にNOでした。

本当にやりたいことは別にありました。チャレンジしたいことはあったのに、本当はそれを知っていながらも僕は行動に移せずにいました。 

 

この先いつか死ぬときに最大限の承認を自分に与えるために、自分を使いきって死ねるように、日常を大切なものにするために、神様に「七日間、有意義に使います」って胸張って言えるように、僕は行動します。

 

冒頭に紹介した宮本英司さん、亡くなった奥さんの宮本容子さんの本「妻が願った最期の『七日間』」(サンマーク出版)が先週発売されました。詩「七日間」が生まれた背景を夫婦の交換日記などを通して書かれています。

本の販売ページのリンクは貼りません。広告も貼りません。

僕と同じように、日常を変えなければいけないことを知っていながらも行動に移せない方、気になった方は書店でぜひご購入ください。

 

下記は朝日新聞が運営する紹介サイトです。 

withnews.jp

 

最後に、もう一つだけ。

僕はこの本を通して「今死んでも満足なのか」を考えましたが、もう一つ感じたことがあります。それは「夫婦のありかた」です。独身で彼女もいない僕は、宮本さん夫婦の日常を率直に(うらやましな)と感じました。夫婦の交換日記からは確かな「信頼関係」を感じたのです。

3組に1組が離婚する現代。離婚したいけど様々な事情から離婚していない夫婦を合わせると、たぶん世の中の半分の夫婦が離婚を考えているのではないでしょうか。

僕もさんざんこのブログで恋愛のことを書いてきました。契約結婚しようぜ、とか、マッチングアプリで出会ったこと胸張って言おうぜ、とか。でも、結婚生活のあり方については何も書けませんでした。独身だから書けることが無いのです。

僕は今、心の底から宮本さん夫婦に憧れを抱いています。

自分さえ納得できればどんな出会いでもいいし、どんな結婚でもいいと思っていますが、宮本さん夫婦からは結婚生活の「本来あるべき姿」を勉強させていただきました。結婚生活があまりうまくいっていない方にもぜひ読んでいただきたいと思います。夫婦のあり方を見直せるきっかけになるのではないかと思います。

 

 

みなさんは、人生最期の七日間をどやって過ごすのでしょうか。

 

 

ありがとうございました

おしまい