昨日、僕が主催するオンラインサロン「喫茶 クリームソーダ」の東京オフ会である一人の男性と出会いました。
身長は183センチ。ネイビーのスーツをペロリと着こなすシュッとしたイケメン。どれくらいシュッとしたイケメンかと言うと、会場に入ってくるなり全体の空気が「ざわ…ざわ…」ってなるくらいのイケメンなんです。
実名は出せないのでそのスタイルから「スマート」と呼びます。
スマート、話を聞けば36歳独身ではありませんか。
おりました、こんなところにも。独身国の住人が。
独身であることはもちろんですが、スマートの「僕の部屋はめちゃくちゃキレイ」の一言で(やはりっ!こいつっ!完全にこっち側の人間っ!)と僕は確信します。
言わずもがな「こっち側」というのは「35年以上の年月をかけて『自分の、自分による、自分のための生活』を完璧に築き上げたタイプの独身」であることを意味します。
おはようからおやすみまで、月曜日から日曜日まで、1月1日から12月31日までのルーティーンが、まるでイチローのバッティングボックスに立つルーティーンのように確立されているのです。
そこには、他人どころか、アリ一匹入る余地も無いのです。
『大きな幸せは無いのかもしれない。その代わり大きな不幸もないよ。そりゃ、たまに孤独だけど、充分すぎるくらい満たされたこの毎日は、何があっても崩してはいけない』
この自分帝国の中でも最も大切な法律を守るため、誰かが入ってこようもんなら、槍や盾を持った騎馬隊が暴動を鎮静化するために出陣します。
自分で築き上げた帝国ので暮らす毎日は、たいへんすばらしいもので、今さら他の帝国と結婚と呼ばれる同盟を結ぶのはちょっと難しいのです。
だって、足りているのですから。
不足していることは、なにもないのですから。
しかし、樹木希林さんが言っていた言葉「結婚なんかわかいうちにしなきゃダメなの。物事の分別がついたらできなんだから」に耳がもげるほどの痛みを感じる人間でもあります。
僕とスマートの会話の一部ですが
スマート「僕はもう『なんで結婚しないの?』の質問は2万回聞かれた」
ウイ「僕なんかもう2万5000回聞かれた」
もう、戦場から帰ってきた兵士が場末のパブで
「俺はここをシリアで撃たれた。見てみろ、この弾痕を」
「俺なんかイラクで拷問に耐えた。今でも左手は不自由だ」
みたいに、身体に刻まれた傷を見せ合いながら戦歴を自慢するような会話なんですが、二次会、三次会にいくにつれ
スマート「恥かくの、死ぬほど怖いよね」
ウイ「女性に送ったLINEがスクショされて別の女友達の相談とかに使われていると思うと軽く絶望するよね」
スマート「他人から『なんで彼女いないの?』っていう質問、なんて答えてる?」
ウイ「なぜ自分に恋人がいないことをロジカルに第三者に説明しないといけなの?まあまあ辛いんだよ?的なことを考えながらだらしない顔で『仕事しすぎなのかもしれないですね~理想は高くないと思うんですけどね~デヘデヘ』とか適当なこと言ってやり過ごしている」
ウイ「過去の自分に言ってやりたいよね『おい、お前、俺は未来から来たお前だ。いいか?今付き合っている女と何の疑問も持たずに結婚しろ』って」
スマート「でも、今の自分が未来から来た45歳独身の自分から言われてもできなでしょ?うるせぇ、未来に帰れって言うでしょ?」
スマート「たまに絶望しない?」
ウイ「孤独死とかはマジで怖いよね」
と、完全に「縦の糸はあなた、横の糸はわたし」状態。
互いの傷を柔らかい布でかばい合うような会話です。
ここで、ウイ帝国君主とスマート帝国君主は、ひとつの結論を出します。
結婚するための、結論です。
満ち足りているはずの生活だけど、それでもやっぱり帝国には跡取りが必要なのです。
王は、孤独に死んではならぬのです。
この、僕たちが出した結論は、もしかしたら結婚するための唯一の解決策なのです。
帝国の歴史を変えるための、帝国を守るための、帝国の繁栄のための、
王自らが指揮を執る革命。
その革命の名は
「できちゃった婚」
20代の頃、地元の男友達ができちゃった婚をすると「おめでとう!」の裏側に
「やっちゃったねー」という気持ちがあったのですが、今現在、その子供たちは大きい所だと中学生とかになっているわけです。
そんなことを聞くと「立派だ!」と尊敬すらします。
「子供」というカードは、頑丈に築いた帝国の壁を、要塞のような城を一回崩すには充分すぎる理由なのです。
なぜなら、我々国王は責任感だけはあるからです。
「責任感がないからいつまでも独身なんでしょ?」という愚かな意見を言う者は即刻打ち首です。それとこれは別問題。
何の迷いもなく、妊娠した女性を嫁にして愛し、子供には何不自由ない生活を提供するために全力を注ぐでしょう。
しかし、この「できちゃった婚革命」はおそらく発生しないでしょう。
だって女性に「あいつゴムつけなかった」的なこと思われるのは、帝国の法律で禁止されていますから。
仮に女性側から許可が出たとしても「特技・避妊」の王は土壇場でびびりますから。
「できちゃった結婚したいけど、『そんなこと言うなら先に普通に結婚しようよ』とは言わないでください。あくまでその名の通り『できちゃった』というプロセスが重要なのです。ある程度『自分の意思とは反する』という要素がないと飛び込めないんです」なんて口が裂けても言えないのですから。
そもそも、そんな王達が好きになる女性は、男性に完璧な避妊を求め、自身も完璧な避妊をするようなしっかり者ですから。
サガミオリジナルの0.02ミリの壁は、ベルリンの壁以上に、これからも帝国を守るのでした。
今日も帝国は安泰です。
めでたしめでたし。
ありがとうございました。
おしまい
※このブログはウイのオンラインサロン「喫茶 クリームソーダ」内のメンバー限定ブログ(2~3日に1回更新中)の過去記事を公開しています
■トークショー
8月18日(日曜日)に下北沢B&Bで「アイドル、やめました」の著者・大木亜希子さんのトークショーのゲストにお呼ばれしました
http://bookandbeer.com/event/20190818b/
トークショー終了後、サロンのオフ会もあります。
■KADOKAWAより書籍
書籍、相変わらず好評です。ありがとうございます

ハッピーエンドを前提として この世は頭のいい女、がまん強い女ほど幸せになりにくいように仕組まれている
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